あなたが眠っている間、私はよく歩きました。私が好きなのは、夜の街でした。人々がねすずまった街を夜通し歩くんです、休まず一人で。
怖くないの?
いいえ。満ちたりた時間でした。足の裏に伝わってくる石畳の感触、湿った空気の匂い、遠くから聞こえるクラクションには動物の鳴き声、様様な音。そこにあなたの声が聞こえなくとも、姿が見えなくとも、不思議と、あなたを感じることができたのです。
そうして、私は答えを得た。私に、あの時間とこの場所が必要だったように、サヤにも、何かが必要なのでしょう。しかし、それはサヤ自身が見つけるしかない。ただ、あなたのシュヴァリエはいつも側にいます、それを忘れないで。
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